起業恐怖症の解明

昨日の「損するのが死ぬほど怖い」話の続き。
改めて、なぜこんなにビビるのかと過去の記憶をさかのぼってみた。
あったのだ。「損して死にそうになる」ほどの事件が。

あれはまだ私が大学に行ってた頃だ。
家にスーツ姿の男数人が訪れ、家の外観写真を何枚も撮っていった。
姉が言った。「家が競売にかけられるかも知れない」
父の勤めていた零細土建業者が経営不振に陥ったらしかった。
当時の父は平社員ではなく「常務取締役」と無駄に偉かったため、負債を返すのに協力せねばならなかった。そして、ポケットマネーで何とかできるわけもなかったので「最悪の場合は家を売る」可能性が出てきたのだ。

しかし、はいそうですかと売るわけにもいかないので現金をかき集めることになった。
私がアルバイトで貯めた金もむしり取られた。
父がどう頑張ったかは知らないが、競売は回避され、私は今も同じ家に住んでいる。

表面的には「めでたしめでたし」であったが、心に負った傷は深い。
「大損したら家がなくなるんだ」(損失が怖い)
「役員になると会社の負債を肩代わりするんだ」(偉くなるのは危険だ)
世間知らずのお子様には充分すぎるショックであった。こんな体験をしていたら「起業は危険な賭け」と思ってしまっても無理はないし、会社で働いても「上を目指す」気にはならない。

「大損しないビジネス」は、果たして存在するのだろうか。
なんてことを思いつつ「心の平安」の音源を聞く。

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