自力での相続登記をいきなり断念する理由

連休も明け、社会が普段通りに動き始めた。
自分で相続登記するには、まず父名義の不動産を把握することだ。
固定資産税の課税明細書を持って法務局に行き、登記事項証明書を取得した。
土地と建物で合計30通。1通600円だから、いきなり18000円が飛んでいく。
「あちらで確認してください」と、閲覧室に案内される。

課税証明書と登記事項証明書の地番を見比べながら確認していく。
ある土地の登記情報で、手が止まった。

「田んぼに…明治31年の、抵当権!?」

もう脳内は火曜サスペンス劇場のオープニングである。
抵当権は自宅にも設定されていたがこれは父が家を建てる時にローンを組んだからであり、完済に伴って抹消されている。一方、田んぼの抵当権は大正・昭和・平成を経ても抹消されていない。
私の父が祖父から相続した時は司法書士に頼んだのだが、その際には無視したということなのか。
だからって私も無視して登記手続きをしていいか?そんなことはない。
多分、何事もなく登記が完了しても死ぬまで不安を抱えることになる。私には堂々と無視する根拠がないからだ。何かの拍子にこれが火を噴くようなことがあったらどうする。まるで不発弾だ。

帰宅後、去年の土地購入時に登記をしてくれた司法書士に、電話で質問してみた。
古い抵当権抹消のためには、抵当権者の相続人全員のハンコが必要だという。
明治時代の人の孫とかひ孫なんて100人超えるかもわからないし、世界中に散らばっているかも知れない。
非現実的だ。相続人全員を突き止めるなんて、もはや歴史学者の仕事だ。

司法書士に登記の手続きを依頼するといくらになるのか、訊いてみた。
10万円くらいらしい。ただし取り寄せる書類の数とかいろいろ変動する要素があるので、一概には言えないと。
「お宅に近い場所ですと○○先生の事務所で相談してみるといいですよ」と言われた。今回質問した司法書士の事務所はうちからかなり遠いのだ。

というわけで、「不発弾」の不安から解放されるために、私は自力での登記を諦めた。
「相続登記を司法書士に頼んでみたらこうなった」というシリーズに方向転換しようと思う。

コメント